2015.12.23

イラスト 仕事 イラストレーターのためのブラック発注予防術

違法発注には正しい闘い方があります!

違法発注には正しい闘い方があります!

イラストレーターが募集されるようになったのは、正直ここ4年です。私達ラクジョブは10年前からこのサイトを運営していますが、2010年以降のゲームアプリやソーシャルゲームブームで一気に「イラストレーター」の求人が増えました。ついには「イラスト制作会社」という会社まで生まれ、2011年以降のイラストレーター募集は緩やかになったものの、未だに減っていません。

そもそもイラストレーターニーズというものは2010年以前そこまで多くありませんでした。拡大するゲームアプリ内のカードゲームのために、美麗系、萌え系、厚塗り等々のイラストレーターニーズが爆発的に増えたのです。今では2010年までの間にイラストを描きつつ二次創作などの活動をしていた人が主にイラストレーターとして駆り出されています。

その結果どうなったでしょうか?急激な環境の変化は、前例の少なさがゆえにトラブルが起きやすくなってしまいます。イラストレーターのニーズが増えて仕事が増えたのであれば尚更、一定の割合でトラブルは起きてしまいます。その中でも特に深刻なのが「未払いトラブル」。特に2013年頃からこの手の相談がTwitter等で特に増えたため、目にした方も多いかも知れません。

これからのマンガ家にはどんな活躍の場があるのか?

イラスト未払い問題はここ2〜3年で急増している

「未払い」が起きるのは、大抵「企業側の資金繰りが苦しい」ことが原因です。企業というのは基本的に未払いを出せば出すほど立場が苦しくなるので、お金があるのに未払いということは基本的にありえません。そもそもイラストレーターに依頼する金額を誤魔化したところで会社側に大きな利益になるはずもないので、本当は払いたい・・・が、支払いが出来ない状況にいる!というのが最もよくある例です。

しかし、未払い問題は「納品したのにお金が貰えていない」という単純な例だけではなく「納品してもらったものが希望と違う、と支払いを拒否された」「描いている途中でプロジェクトが中止になったために支払われなかった」「納品してから連絡が無かった」等、色々な理由が入り込みます。そういった面倒な問題を起こさないためにも、また万一起こしてしまったとしても正しい対応ができるように簡単な対策をご説明出来ればと思います。

まず、イラスト制作を受注する前にできる対策は、基本的に契約書オンリーです。大抵の場合、契約書は発注元から提出されますが、もし「相談してから契約書を」「納品してから契約書を」といった扱いの場合にはかなり注意が必要です。その場合は契約では無く、口約束ベースになってしまい法的拘束力が激減してしまいます!未払い問題はビジネストラブルです。ビジネスとは会社法に則って行われる物ですから、もし何か問題があればそれは法律的に扱える問題となります。そして、法律が何より重視するのは文字情報。ですから、契約書は必ずイラストの最初の一筆目を入れる前に結んでください。逆に言えば契約書が無いのであれば、絵は描かない方が良いくらいです。契約書の内容も熟読した上で「支払時期が明記されているか」「こちらに不利な条件になっていないか」等をできる限り確認し、すぐにわからなかったとしても後ほど相談ができるようコピーは必ず手元に置いておきましょう。

契約書以外でも文字情報は法律上かなり重要視されます。例えば、イラスト仕事を請ける前にどういった契約になっていたのか?どんな変更がいつあったのか?いくらをいつまでに支払うという約束になっていたのか?これらが文字で確認出来ない場合、回収はちょっと難しくなります。ですからもし電話口や口頭ベースで「こんな仕事内容をお願いしようと思っています」「×日までに、報酬としてこれだけ支払います」という重要な内容がある場合は、改めてメール等で「こういった内容だったと思いますが、念のためご確認頂けますか」と、条件の箇条書きでも良いので送りましょう。昔ながらのお客さんだったり、信頼出来る知り合いだったとしても文字情報は大事です。せっかくの関係をうやむやな情報で壊さないように、きちんと確認を取っておきましょう。
未払いだ!となってしまった場合、重視されるのは下記の点です。

1.本当に発注があったのか
2.発注通りの納品ができたのか
3.期限やクオリティが発注通りで無かった場合、それが判明した時にどういったやり取りがあったか

これら3つが文章などで確認出来るのが最も好ましい状況です。
「文章」とは契約書に限らず、メール、LINE等メッセージのやり取りや、個人の記録(日記)でも構いません。しかし個人の記録は後から作ってしまう事も可能ではあるので、少々注意は必要でしょう。受発注に関する大事なやり取りは基本的にメール等で残しておくようにしましょう。

また、これは契約書関連ではありませんが、「支払いのタイミングを明らかにしておく」という事も重要です。特にクリエイターの場合は支払いタイミングを明らかにしない例が多く、それが結果的に「もう○ヶ月経ってるけどまだ支払いがない・・・大丈夫かな?でも支払うって言ってたし・・・こっちから言うのは良くないかな」という懸念に繋がります。普通は数ヶ月遅れて支払われることなどありません。待っても1ヶ月〜2ヶ月といった所が一般的ですが、ごくたまに「請求が無いために支払いがされていない」という例もあるのです。発注元がどんなに急いでいたとしても「支払いサイトはどうなりますか?」という一文は必ずメール等に入れるようにしてください。それだけで「いつ支払われるか」が明らかになります。これが無ければズルズル支払いが伸びてゆく事も充分あり得ます・・・。

いつまでも待ちたくないよネ・・・

いつまでも待ちたくないよネ・・・

さて、ここまでしても未払いが起きてしまった!という場合。まずその会社に「○日に支払いの予定と伺っていたのですが、まだ入金の確認が取れません」と伝えることはもちろん大切です。それでも連絡が来ない、対応が無い・・・という場合は「法テラス」等の無料相談を使う事も可能です。少なくとも前述したような契約書や、メールでの細かいやり取りを残しておくなど対策を練っておけば不利に働くことにはなりません。ただし、会社側の資金繰りの問題で支払いがされていない場合は即座に支払いとはいかず、分割支払い等の処置になる場合もありますので注意が必要です。

こういったトラブルは絶対に出会わないようにしたい・・・!!!という場合はネットで発注元の名前を検索するのも1つの対策ですが、今回もらったイラスト仕事に該当するゲームの売れ行きが極端に落ちていないか、新規プロジェクトだったとしてもその会社の業績がどうか、などチェックするとリスクは避けられるかも知れません。しかし、これはさすがに信憑性を自らの目に頼るしか無くなってしまい、場合によっては何設けられなくなる可能性もあります。できるだけ仕事は請けつつも、万全の対策を心がけることが最も無難かと思われます。正しい知識を持って良い作品を作りましょう!

【最後に】

さて、ラクジョブではイラストレーター業界の今後についても、会員のみなさまの意見を募っています。

名付けて、
「ぶっちゃけこのイラスト会社から仕事を請けたい!ホワイト発注万歳!ブラック発注撲滅調査!」

【回答項目】
1 このイラスト会社は仕事を受けて良かった!(請け続けたい)
2 このイラスト会社とは仕事をしたくない!(二度と請けたくない)
※どちらも記入必須です。
該当社名が無い場合は、名指しで別の会社をご記入頂いても結構です!

1の理由、2の理由があれば是非、下記に記入してください。

ラクジョブではブラックな発注を防ぐために皆さんの協力の元情報を収集しています。
是非ご協力ください!

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PROFILE

平田 悠貴 ビ・ハイア株式会社副社長

平田悠貴

ラクジョブ運営会社で2番目に偉い人で現場で1番偉い人。東京都在住。学習院大学文学部哲学科出身。ラクジョブはこの平田さんがいなかったらもっと前になくなっていたでしょう。アニメをみて、作画が良いと良く感動して泣きます。