2015.12.27

ソーシャルゲーム イラストレーター求人の将来 3DCGを学ぶべきなのか?

illustrationEffect4イラストレーターは3DCGを学ぶべきでしょうか?現在ソーシャルゲームは次々と3D化しています。イラストレーターの求人が最も多かったのは2012年頃。2012〜2013年にはイラスト制作会社もどんどん生まれ、カードゲームブームが過熱して行き海外アーティストが使われることも多々ありました。まだ学生のうちから専門学校生のイラストレーター志望者に目を付けるゲームメーカーの「青田刈り」もよく見受けられました。しかし早くもそのバブルは弾け、現在でも2DCGイラストは求められているものの、かつてほどのニーズ・金額感は無くなっています。

あまりに早すぎたイラストブームの終焉に戸惑うイラストレーターも多く、これからどういうイラストを描けば良いのか?または市場価値を高めるために3DCGを学んだ方が良いのか?等困惑の声をよく伺います。これからイラストレーターが伸ばすべきスキルは何でしょうか?

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TGS等のエキスポを見ると、ソーシャルゲーム、ゲームアプリに3Dゲームが唐突に増えていることは明らかです。(http://dengekionline.com/sp/tgs2015/

しかし、私が以前書いた「ソーシャルゲーム開発担当者さまへ その条件では良い3DCG会社は見つかりません!」(http://raku-job.jp/news/companyrep/1283/

ソーシャルゲーム開発担当者さまへ その条件では良い3DCG会社は見つかりません!

にもあるようにまだゲームアプリ業界での3DCG発注単価は安くみられがちです。また、3DCGで求められるのは必ず「高いクオリティ」「早い納品」です。これはイラストレーターとして既に活躍している方なら何となくご理解頂けると思います。そういった状況に対し、これから3Dを学んだところですぐの武器にはなりかねませんし、もし仕事になったところであまり単価が合わないというのも事実でしょう。更にいえば現在もっとも業界で利用されているAutodesk社のMayaという3Dソフトは月間¥20,340というそれなりの高価格です。3Dを始めるのであればかなりの余裕が必要と言う事がわかります。

ではイラストレーターは今のままイラストスキルをただ上げるしか無いのでしょうか・・・?いいえ、それならこんな記事は書いていません。2Dから3Dにゲームの内容が変わっても、ずっと必要とされ続けているデザイナーの仕事はあります。それがUIデザイナーです。

UIデザイナーとは元々画面遷移を検討した上でゲーム画面のデザインを考える人でしたが、最近はどちらかというと「バナー制作」「App Storeに出す宣伝用画像の制作」を行う人を指すことが多くなっています。UIデザイナーが必要な理由として

World Import and Export1.慢性的な人不足
2.追いつかないほどのアプリ生産数
3.海外へのアプリ輸出

といった3種類があります。まず1の「慢性的な人不足」。UIデザイナーは本来IT業界で「Webデザイナー」として活躍することも多いのですが、逆に言えばゲーム業界をわざわざ志望する人が少ないためにゲーム業界内ではずっと人材不足となっています。ゲームというとイラスト!というデザイナーイメージが強いことと、ソーシャルゲームが爆発的に増えた現象にUIのデザイナー数が着いていっていないことが人不足に拍車を掛けています。UIデザイナーはゲームの立ち上げの時のみに必要な人材ではありません。ゲームを運営していく上で行うイベント、キャンペーン、期間限定ガチャなど追加要素が出るたびに必要になってゆくため、ほぼ仕事が途切れることがありません。

そして2の「追いつかないほどのアプリ生産数」。これはデジタルコンテンツ白書2015を見てもあきらかですが、ソーシャルゲームの市場は2014年の時点で前年比160%の伸びを見せています。

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ほぼ1.5倍の数の売上を見せるという事はその分新しいアプリや新しい課金キャンペーンが作られているということ。それらのために必要とされるのは何よりアプリの存在やキャンペーンの始動を知らせる「バナー」です。アプリがどれだけ3Dになっても、アプリバナーはいつまでも2D。ここでも2DのUIデザイナーが必要とされるのはおわかり頂けるかと思います。

International goods transport with globe on background最後に3の「海外へのアプリ輸出」。現在、ソーシャルゲームは日本だけでなく海外へのリリースも視野に入れられるようになりました。サイバーエージェントが7月末に行った調査によると、日本は東アジアで最大のスマホゲーム市場で、13年の市場規模は5468億円と既に大きな売上を上げています。このことからも海外への進出は大手SAPにとって無視出来ないビジネスということがわかります。しかし海外向けにリリースする際にも海外向けのバナー等が必要となります。それらをどこか海外の外注先に任せるよりは社内で何とかしたい・・・という結果、やはり海外用のUIも作ってくれる人が必要だ!と話が進んでゆきます。現に2015年、特に後半はこういったご相談をSAPさんから頂くことが多くありました。

UI-UX Designer Jobs in Newspaper.UIデザイナーは基本的に会社からもらったゲームの素材を配置し、目を引くようなデザインに仕上げることが求められます。目を引く絵の色彩配置などはネットや本を調べるだけでも出て来ますし、こういったバナー等を作るUIデザイナーにはプログラミング言語知識が必要とされることはありませんので、イラストレーターとして幅を広げることを考えている場合はこういったUI関連のデザインを囓っておくことをお勧めします。少なくとも「UIもできますが」と伝えるだけで仕事の量はかなり増えますし、イラストレーターだと「同じ絵柄ばかりになってしまうから」と2本目以降のゲームで使ってもらえないリスクもありますが、UIデザイナーはいくつ手がけても重宝され続けます。

もちろんイラストレーターとして描きたいイラストを手がけながら、UIデザイナーもサイドスキルとして持っておくだけでも役に立つでしょう。現在イラストレーターとして活躍されている方、今後に備えたいという方にお役立て頂ければ幸いです。

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PROFILE

平田 悠貴 ビ・ハイア株式会社副社長

平田悠貴

ラクジョブ運営会社で2番目に偉い人で現場で1番偉い人。東京都在住。学習院大学文学部哲学科出身。ラクジョブはこの平田さんがいなかったらもっと前になくなっていたでしょう。アニメをみて、作画が良いと良く感動して泣きます。