2015.12.14

年収設定 アニメゲームマンガ 人材採用ノウハウ 求人広告の書き方

絵の設定

人事採用担当の皆さんは、給与設定で困ったことはありませんか?

ゲーム業界の平均年収は2010年時点で518万4995円でした(デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究委員会報告書 財団法人デジタルコンテンツ協会より)。しかしこの直後にソーシャルゲームの大流行があり、求人業界でも給与設定が一時期乱高下しました。25歳で1本ゲームを担当した経験があるだけにも関わらず、大手に転職して年収が550万になったという女性ディレクターなどの話は当時本当によく聞きました。今では「採用できたら年収1200万でも出す」というようなお話は減りましたが、2012年〜2013年頃はゲーム業界の平均年収が最も高かった時期と思われます。

年収が右肩上がりに上がりすぎた時期が合った

年収が右肩上がりに上がりすぎた時期が合った

しかしそれでも辞めてしまう人が多い。多いどころか大半でした。そもそもそんなに高年収を捻出できる会社はごく一握りです。そのためか「給与をどれくらいに設定すれば良いのかわからなくて・・・」というご相談は今でもベスト3に入る「よく聞かれるご質問」です。残念ながら2010年の後2015年現在まで、ゲーム業界全体を見渡した年収の公式レポートは無いため、ずっと求人広告という形でゲーム業界の年収事情と向き合ってきたラクジョブ独自でデータを集めました。

まずは現場の年収です。プログラマーやデザイナーといった人材の求人を行う場合は、20代後半〜30代前半で社会人経験がそれなりにある人が欲しいというご意見をよく頂きます。2015年内にラクジョブに掲載してきた求人の平均年収をまとめると下記のようになります。

各職種の年収は?どれくらい?

各職種の年収は?どれくらい?

ゲームプログラマー 316万〜508万
サーバーエンジニア 318万〜556万
2DCGデザイナー 289万〜420万
3DCGデザイナー 330万〜673万
プランナー・ディレクター 290万〜(上限表示無し)

因みに日本全体の20代平均年収は292.5万円です(民間給与実態統計調査 2014年9月)。そう考えるとやはり全体的な給与は高めのようです。プログラマーとサーバーエンジニアは特に、ここ2年ほどで年収が上がりました。シンプルに、需要が増えた結果と思われます。

若手の次にニーズが高いのが「マネジメント職」。アートディレクター、ディレクター、プロダクションマネージャーなど・・・こちらはギリギリ40手前まで、というご要望をよく頂きます。こちらはどうでしょう。

アートディレクター 312万〜
ゲームディレクター 650万〜
ゲームプロデューサー 700万〜

アートディレクターだけが目立って低額ですが、これは「アートディレクター」という職種がイラスト制作会社の制作アシスタントをも指すようになったからです。それでも高度なコミュニケーション能力と調整力が試される仕事です。ディレクター系になると「マーケティングもやって欲しい」「部署全体を引っ張って欲しい」という話が出てくるため、一気に高額になりがちです。中には1000万円超えの求人もありました。こういった責任の重い仕事にはまだ「高額給与である事」は重要視される傾向にあります。

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実はここまで調べてみて、これら全体の平均給与を割り出してみると・・・518万円!なんと、最初に引用した2010年から全く変わっていないのです。また、ソーシャルゲームでゲーム業界が若年化したとの意見もありますが、2010年のゲーム業界の平均年齢は33.79歳、平均勤続年数は6.59年(引用元前述)に対し、2014年12月の時点で出たゲーム業界の平均年齢は34.6歳。平均勤続年数は5.6年とそう変わりません。

平均

http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting-case-study/em-016.htmlより引用

確かに元コンシューマー系のゲーム開発会社の平均年齢が30代後半になっているのに対し、ソーシャルゲーム関連の会社は平均年齢が27〜32という若手が目立ちますが、業界全体を見渡すと大きな変化は無いのです。

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年収の設定に正解はあるのか?

そのため、よく皆さんから聞かれる「年収は高く設定した方が良いんですか・・・?」というご質問には胸を張ってこう言えます。「そんなことありませんよ」と!

そもそも年収が高く設定されても、応募者はどちらかと言えば会社の雰囲気や環境をかなり重視する傾向にあります。以前「求人写真はダサくしろ(https://raku-job.jp/news/companyrep/9/)」にも書きましたが、人材が気にするのはあくまで会社のなじみやすさだったり、開発が自由に出来る環境か・・・という部分です。社名は言えませんが、以前大手企業の内定を蹴って無名の開発会社に入った優秀な2DCGデザイナーがいました。個人的に彼女に話を聞いたところ、「かつていた大手SAPでは仕事中の私語が厳禁で、後ろにいつも見回りがいたし、ふと顔を上げると向かいの人が辞めていて他の知らない人に変わっている、ということがままあった。もうあんな冷たい開発現場にはいたくない。」という恐ろしいエピソードを話してくれたことがありました。

ですから皆さんが年収設定をする場合は、よっぽど低すぎない限りは基本的にNGはありません。年収設定よりも大事なのは会社環境のアピールです。業界にかける情熱、ゲーム作りにかける情熱をこそ、求人広告ではさらけ出すようにしてください。・・・あ、ちなみに、応募者が年収に拘らないからと言って具体的数値を出さず「経験、実績によって決定します」と書くと、本当にびっくりするほど応募が減ります!!!年収モデルだけでも良いので必ず書くようにしてください。

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PROFILE

平田 悠貴 ビ・ハイア株式会社副社長

平田悠貴

ラクジョブ運営会社で2番目に偉い人で現場で1番偉い人。東京都在住。学習院大学文学部哲学科出身。ラクジョブはこの平田さんがいなかったらもっと前になくなっていたでしょう。アニメをみて、作画が良いと良く感動して泣きます。