2016.01.27

日活がSUSHI TYPHOON GAMESを立ち上げゲーム事業に参入・・・って大丈夫なの?

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日本映画の「日活」がゲーム事業に参入しました。・・・えーっと・・・それは・・・大丈夫なの??・・・というストレートな疑問を元に検証してみたのがこの記事です。

suspicious secretary did found something on her l「大丈夫なの?」という不安の元にあるもの

「あの××がゲーム業界に参戦!」というフレーズは、数年に1回必ず目にします。去年はそれが「TSUTAYA」「楽天」でした。「Amazon」「ヤマダ電機」といったものもありました。しかし・・・他業界からのゲーム業界参入は、高いリスクが伴います。別業界で1位を取っている会社でも、ゲームの商売について不勉強だったり社内の人が慣れていないと、結果は鳴かず飛ばずになってしまいます。実際あった例としては、オンラインゲームサイトをOPENしたにも関わらず即システムメンテナンスに入ってしまい、1ヶ月近くゲームが遊べない状況になってしまったり、ほとんど告知がされなかったためにゲームの存在すら知らされなかったり・・・最近ゲームプラットフォームの新規参入で最も上手く行った例はDMMと言えますが、その他の会社では苦戦が続いています。そんな中、果たして「日活」は上手く行くのか・・・????

5106pwZNeYL日活のゲーム参入におけるコンセプト

今回日活が起ち上げるゲームブランドは「SUSHI TYPHOON GAMES」です。この「SUSHI TYPHOON」というのは、カルト映画に通じている人であれば知っている日活の映画レーベルです。いわゆる「B級」と呼ばれる、バイオレンス、エログロ、スプラッタを中心にしたエンターテインメント映画を作り出しており、特に海外に向けて作品が発表されています。代表作は「片腕マシンガンガール」「東京残酷警察」・・・タイトルを見ただけでも何となくどういった作風か分かると思います。「SUSHI TYPHOON GAMES」はその名の通り、「SUSHI TYPHOON」の意志を引き継ぎ新たに立ちあがった、とwebサイトにはあり、最初のゲームタイトルは「刺青の国」。日本のヤクザ映画を思わせるティザーサイトもできており、インディーズゲームとして台北ゲームショウで早くも制作についての発表を予定しています。公式サイトによると「様々なプラットフォームでの展開を視野に入れて、現在ラインナップの拡充を進行中」とのこと。世界を視野に入れたコンシューマーゲームの可能性も捨てきれません。

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これまで大手企業が新規参入しながらも、その内いくつかは上手く行かないまま消えてしまった・・・という例を先に話しましたが、主な理由は何だったのでしょうか。以下に挙げてみました。

◆自社ポイントを消費させるためのゲームプラットフォーム作りだったこと
ポイント制度を導入している大手企業は多いものの、そのポイントは意外と使い道が無く、貯まっていくばかりです。あまり貯め込まれすぎても良くないので数年でリセットされるなどの対応をしている会社さんもありますが、ゲームに参入した会社さんの場合は「PCブラウザゲームやアプリゲームにポイントが使える」という形でゲームへの消費者導入を目指しました。しかしその後の課金には繋がりにくく、大きなヒットが無いことが指摘されます。

◆広告が不十分だったこと
何故か、ゲーム業界以外からゲーム業界に参入した大手企業は十分なゲームの広告をしません。中にはTVCMを打った会社さんもありましたが、ゲームの情報をネットで集めるユーザーの目には止まりませんでした。また、プラットフォームの広告はしてもゲームの広告はしない、など見当外れの広告も多く、対象とするユーザーに届いていなかったようです。「初期はバグが出やすいのであまりアクセスして欲しくない」という理由から広告を打たなかった会社さんもあったようですが、これはゲーム制作をする上でお客さんを減らしてしまう致命的な考え方です。

◆開発までに時間がかかりすぎた/先を読まない開発をしたこと
現在ではソーシャルゲームであれ、開発には平均して半年くらいの期間をかけます。しかし当初ゲームに参入した会社が、完璧なゲームの開発のために2年ほど時間をかけたことがありました。しかし2年間の間に絵柄の流行やゲームの流行も随分変わってしまい、いざリリースしたときには作風が古くなってしまいました。先を読まずに「こういうのが流行っている!」という分析だけで作ってしまうというのは、よくありがちな失敗ですが、業界のスピードが違いすぎるが故によく起きるとも言えます。

◆ローンチタイトルがあまりに少なかったこと/国産のゲームが少なかったこと
これらは、予算が多く配分されなかったときに起きがちな例です。海外からのゲームをローカライズしてローンチタイトルにするのは予算の関係上たまに見られる例ですが、予算を削ってしまうとその分ローカライズのクオリティや運営にも影響が出てしまいます。タイトルが毎月追加されることも無く、そのまま・・・という場合には、プラットフォームの過疎化が進みやすくなってしまいます。

その他運営の不備など、はじめて手を付けるからこその予想外なトラブルがうまく処理出来ない場合、プラットフォームは失敗への道を辿ってしまうことになります。今回は最近最も事例の多いソーシャルゲームを取り上げましたが、コンシューマーであれ「予想以上に予算がかかり、回収にも時間がかかる」という判断がされた場合には、ゲーム事業は畳まれる傾向にあります。ゲーム事業はどうしても長期決戦が必要とされるため、会社側がよっぽど腰を据えて結果を待つ姿勢ができていなければゲーム事業参入は成功できません。

Business.・・・で、日活はうまくいきそうなの?

これらの要素を考えて見ると、日活のゲームに関しては「とにかく腰を据えて回収を待てるか」がミソになりそうです。もしこのゲーム事業が、自社のレーベルをブランディングするためだけであれば、すぐの回収は難しいでしょう。ただ印象から言えば、付け焼き刃では無いコンセプトや、日本に先駆けて海外のゲームショウで発表を行う気合いの入り方から、かなり本気モードなのでは無いかと推測出来ます。今回のゲームがどのプラットフォームから発表されるかなどでまた状況は違ってきますが、現在のゲーム業界がぎょっとするようなエンターテインメントを是非期待してゆきたいと思います。

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PROFILE

平田 悠貴 ビ・ハイア株式会社副社長

平田悠貴

ラクジョブ運営会社で2番目に偉い人で現場で1番偉い人。東京都在住。学習院大学文学部哲学科出身。ラクジョブはこの平田さんがいなかったらもっと前になくなっていたでしょう。アニメをみて、作画が良いと良く感動して泣きます。